- 2025年5月4日
- 2025年5月5日
私の三焦論(4) 発生学からみた三焦
はじめに 50年の歴史を誇る『東西漢方研究室』が今年8月をもって廃刊となるそうです。2021年から投稿を始めた私にとって、この雑誌の廃刊は非常に残念です。筆不精の私が毎号締め切りに追われながらも投稿できたのは、中川先生の寛大なご指導のおかげであり、深く感謝しております。 大友和夫氏が1980年に同誌に投稿された「三焦」の論文に触発され、私なりの三焦論を展開してきました。氏は同誌で、次のように述べて […]
院長主催漢方についての投稿コーナー
はじめに 50年の歴史を誇る『東西漢方研究室』が今年8月をもって廃刊となるそうです。2021年から投稿を始めた私にとって、この雑誌の廃刊は非常に残念です。筆不精の私が毎号締め切りに追われながらも投稿できたのは、中川先生の寛大なご指導のおかげであり、深く感謝しております。 大友和夫氏が1980年に同誌に投稿された「三焦」の論文に触発され、私なりの三焦論を展開してきました。氏は同誌で、次のように述べて […]
緒言: 1980年大友一夫氏は東静漢方研究室誌の論文「三焦 」1)で次のように述べている「三焦の形、語源、位置に関し、古書に則って考察を加えてきたが、それらを整理すると、以下の如きものが想定されてくる。胃からは、水穀の精微をしぼりとる二通りの「布状のもの」が出ており、それが上焦と中焦を表している。 腸管からは、やがて小便となるような水分を吸収する「布状のもの」が出ており、それを下焦と […]
私の三焦論(2) 解剖の進歩が変えた三焦の概念 中島クリニック 中島啓次 緒言 前回、大友一夫氏の論文「三焦」1)から以下のまとめを引用した。「胃からは、水穀の精微をしぼりとる二通りの「布状のもの」が出ており、それが上焦と中焦を表している。 腸管からは、やがて小便となるような水分を吸収する「布状のもの」が出ており、それを下焦と称している。したがって、上焦、中焦、下焦とも、腹腔 […]
小学生にもわかるTRPチャネルの説明 TRPチャネルは、私たちの体の中にいる小さな小さな門番のようなものです。この門番は、細胞と呼ばれる体の小さな部屋の入り口にいて、外からの刺激を感じると門を開け閉めします。 1. さまざまな刺激を感じる門番 TRPチャネルは、たくさんの種類の刺激を感じることができます。 温度: 熱いお風呂に入ると「熱い!」と感じたり、冷たいアイスを食べると「冷たい!」と感じたり […]
医食同源とは 「医食同源」は中国の古い言葉と書かれていますが、真柳誠氏によると、「医食同源」という言葉は1972年代の日本人の造語であることが分かりました。 「医食同源」の思想は、五味論の発展とともに生まれ、中国薬物学の本草書に大きな影響を与えました。しかし、三世紀以降、食医の知識は忘れ去られ、食宜の思想が薬膳として発展しました。現在の薬膳の概念は、北京中医薬大学の翁維健氏が初めて使用し、その後、 […]
『傷寒論』は中医界で初めて成立した処方に関する書物であり、その中で特に重要な地位を占めるのが桂枝湯です。これは中医の理論、法則、方策、薬物の弁証論治の理論体系に基づいて応用され、その先駆けとなったものです。 桂枝湯という名前を聞くと、一般的に最初に思いつくのは、太陽中風証(風邪を引いた際の初期症状)を主に治療するという役割です。実際、『方剤学』という中医の教科書でも、桂枝湯は辛温解表(外から侵入し […]
漢方薬とTRPチャネル 「要旨」 古来より人間は植物から薬を見出してきた。中国には神農が草木を味わって漢方薬を分類したという伝説がある。分類の基準は寒・涼・平・温・熱の五気と酸・鹹・甘・苦・辛の五味である。現代科学は、生薬の気味(五気、五味)の実態を温度感受性TRP(Transient Receptor Potential)チャネルによって明らかにしようとしている。多くの生薬を含む植物化合物が特定 […]